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2. 図形要素の代数的表現

2.5 行列を図で表示する方法


2.5.1 行列をベクトルの集合と考える

 線形代数学でベクトルと行列(マトリックス)を扱うとき、現実的に理解ができる2次元3次元の空間の考え方を、擬似的空間に拡張して説明に使います。幾何でのベクトルは図に描いて理解できますが、擬似的なベクトルを図に描くことはしません。4次元以上のベクトルは、何かの連続関数を描いて、その有限個数の座標値で離散値の集合として扱うことが普通です。しかし、直交する、などの説明用語は幾何のベクトルの性質を感覚的に踏まえて代数的に定義して利用します。計算幾何学で扱う行列は、逆に、線形代数学の行列演算の便利さを幾何の計算に応用するように取り込んだ数学量であって、主に座標変換に使います。その行列個々の成分は幾何学的な意味づけを持ちますので、行列を約束するとき、幾何学的な性質が分かるような表し方をすると説明に便利です。結論から言うと、計算幾何学で扱う行列は、ベクトルの集合を表します。このことは、行列の成分をコンピュータのメモリ領域に配列として保存するときの、データ構造を設計するときに関係を持ちます。
2008.2 橋梁&都市PROJECT

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