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2. 図形要素の代数的表現

2.4 簡易投影法


2.4.1 幾何の説明には図が無いと困ること

 初等幾何学では、平面図形を主な対象とします。立体的な図形を説明しようと思うと、図に表す方法のところで思わぬ苦労をします。数学的に言えば、立体図形は3次元ですので、それを平面的な2次元図形に描くと次元が下がり、部分的に情報が失われます。したがって、工業製図では、幾何学的に正確な情報を伝えたいときは、複数の平行投影図を組にします。図を使わない文章だけの説明では、理解するのが難しくなります。図が無い場合には、説明をもとに図を再現しなければなりません。説明用の図は、理解が得られればよいと妥協して、必ずしも正確でなくても構いません。コンピュータを使って幾何学的な計算処理を行う場合、正確さは、計算する数値の方で判断できます。このこともあって、従来の標準的な正投影図にこだわらず、斜投影図や透視投影図のような、分かり易い見取り図的な表現方法を使うことが多くなりました。一般の人向けには透視図(パースペクティブ)が好まれます。この図は、人が見ている像と同じような自然さで図形が得られますが、奥行き方向では長さが寸法に比例しません。工業製図の補助的な説明に使う図では斜投影図の方を使います。GBASICでは、立体幾何の問題の説明に使う作図も、見易さ、簡便さと同時に或る程度の図形の正確さが得られるような斜投影法を提案することにしました。
2008.2 橋梁&都市PROJECT

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