目次ページ  前ページ  次ページ

2. 図形要素の代数的表現

2.1 幾何学要素の数値表現


2.1.1 幾何学要素の数値表現

 代数学は、数を扱う学問です。数を生で加減乗除の計算に使う代わりに、文字や記号を扱った四則演算の式で問題を解析することからそう呼ばれます。具体的な1,2,3…などの数に代えて、例えば英字のa,b,c…を使うことが抽象化です。現実社会では具体的な数を使った算術の方が重要です。それを実学的に研究するのが数値計算法です。幾何学は図形の性質を扱う学問ですが、具体的な図形としての点や線の代わりに、抽象化した幾何学的三要素「点・直線・平面」を考えます。学問としての初等幾何学は、具体的に図を描く技術を扱うのではなく、図の性質を研究し、描く方法の原理(アルゴリズム)の方を主に扱います。これを言葉で表します。例えば、三角形の重心位置を求めるとき、点・直線などに文字記号を当てて文章で表します。

「A, B, Cを3頂点とする三角形を考える。その頂点の対辺をa, b, cとする。対辺の中点をP,Q,Rとし、頂点とそれらの中点を結ぶ3線分をl, m, nとする。l, m, nは1点Gで交わる」。

コンピュータの助けを借りて具体的に三角形の作図をさせるときは、コンピュータが理解できる言葉で表します。これがプログラミング言語です。FORTRANは代数式を理解できるように組み立てたプログラミング言語です。しかし、代数式そのものは、英語文章の構成を記号化したものですので、欧米では元の文章に直して読む習慣があります。幾何の計算はやや特殊です。しかし、上に挙げた文章を擬似的に代数式表現に直し、コンピュータが理解できるようにプログラミング言語の文法を組み立てることを考えます。この準備に、幾つかの約束を決めます。
2008.2 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ