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1. 座標系と長さの概念

1.4 コンピュータグラフィックスの座標系


1.4.6 ウインドウ・ビューポート変換

 擬似カメラが見ている世界座標系と、フイルム上の座標系は同じではありません。世界座標系の方は数学座標系を使うのが普通です。撮影したフイルムから、このビューポートに画像を貼り付けるのは簡単な座標変換です。このとき、基本的にはフイルムとビューポートとで相似な矩形枠を考え、ビューポートいっぱいにフイルム画像を引き伸ばして貼り付けます。しかし、必ずしも矩形のアスペクト比が同じではありませんので、上下か左右に余白が出ます。余白を最小にする方法として、筆者が採用している方法は、フイルムのアスペクト比でビューポート中央に最大に接するようにします。この座標変換は、図形の相似性が保たれますので、等方性変換(isotropic)と言います。これに対して、相似でないフイルム矩形枠の縦横比を変えて、ビューポートの矩形枠いっぱいに引き伸ばす方法もあって、異方性変換(anisotropic)と言います。簡単なイラストを割り付けるときに応用しますが、幾何モデルの作図には採用しません。このように、寸法を考えて作図する段階になると、図1.1で例示したような単純な幾何学的図形でも、面倒な手順を理解しておかなければなりません。
2008.1 橋梁&都市PROJECT

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