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1. 座標系と長さの概念

1.4 コンピュータグラフィックスの座標系


1.4.5 ビューポートの定義方法

 作図装置の一画面は、いつも全画面を使うのではなく、部分的に表示枠を限定して、そこに目的別に表示します。この作図枠をビューポート(viewport)と言います。Windowsのシステムで言う通称のウインドウ(フォーム)は、グラフィックスの方のビューポートです。Windowsの環境のプログラミングは、フォームの形状・寸法・位置を設計しなければなりません。実行時には、フォームの位置と寸法をユーザがインタラクティブに変更できるようにWindowsのOSがサポートしてくれます。ビューポートの話に戻します。ビューポート矩形領域の寸法と位置は、装置座標系を使って宣言しなければなりません。その矩形領域の中に、世界座標を定義したウインドウの座標を割り付けます。作図命令は世界座標を使ってビューポートの中に描きます。これには座標変換が必要ですので、ウインドウ・ビューポート変換と言います。この変換は、ビューポートの位置を装置座標上で移動させても、表示されている画像を載せたまま移動することを保障する座標変換です。これを支えるソフトウエア技法の一つに、シザリング(scissoring)があります。ユーザが作成するグラフィックスの作図命令の座標は、ビューポートの枠をはみ出すこともあります。シザリングは、枠を外れた線を描かないように枠のところで線を切ることを言います。このソフトウエアは、OS側、またはデバイスドライバでサポートしてくれますが、ユーザ側で目的に合わせてプログラミングすることもあります。
2008.1 橋梁&都市PROJECT

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