目次ページ  前ページ  次ページ

1. 座標系と長さの概念

1.4 コンピュータグラフィックスの座標系


1.4.4 装置座標系

 作図は、基本的に擬似的なペンの移動で描きます。作図装置の座標系は、0から始める正の整数値を使う座標系です。原点位置と座標軸の向きは装置ごとに固有です。モニタの場合には左上を原点として、x軸を右、y軸を下向きとします。線を引く操作は、描き始めの個所まではペンを上げたまま移動し、そこでペンを下ろして線の終点まで直線的に移動させます。デジタル制御の作画装置で斜めの線を引くと、ペンの移動が階段状になります。見た眼に不自然にならないようにするには、ペンの位置制御の間隔を狭くします。プロッタでは、0.1mm程度が使われます。別の言い方は、1mm幅に10本の線を区別して描けると言います。これを、インチ単位に直した250 DPI(dot per inch)の言い方も使います。装置側には、ペンの座標を符号無しの整数で指定しますので、A0版の寸法の座標範囲は11890×8410です。CRTモニタで、解像度(800×600)の画面は、見た眼の精度が100 DPIのレベルです。高画質のレーザプリンタは600 DPIを保証しています。モニタでは、物理的な画面寸法ではなく、モニタの解像度で表す習慣です。画面のアスペクト比と関連付けて、(640×480)、(800×600)、(1024×768)のように表します。座標値として使うことができる範囲は、例えば(0-639, 0-479)のようになります。ここで言いたいのは、擬似的なカメラで撮影するフイルムも、そのまま作画装置で再現させるには、同じ解像度の座標系が必要になることです。デジタルカメラでは、フイルム寸法の方を捨象してCCD(charge-coupled device)の画素数で言う習慣になっていて、百万画素のように言います。これは、横・縦の画素数の積ですので、3:2のアスペクト比で分けると、約(1200×800)です。なお、作画装置はデジタル座標を使いますので、座標が示す位置は画素(pixel:ピクセル)単位の領域の位置です。数学で考える実数座標と微妙に位置が狂います。
2008.1 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ