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1. 座標系と長さの概念

1.3 長さの理解


1.3.4 測量の基本は歩いて距離を測ること

 伊納忠敬が日本全国の地図を作成したとき、距離の計測には道具も使いましたが、歩測距離もかなりの高精度で利用していたようです。個人差がありますが、歩測で測る距離は、マイルで説明したように案外正確です。土木系の測量実習の教育では、100m長さの固定区間を設けておいて個人の歩測距離の較正をさせます。そうしておいて、スケッチで地図を作成させます。そうすると、かなり実用精度のある地図を描いてくれます。その後で、簡単な用具を使う測量をさせると、非常に理解度が上がります。慣れてくると、目測でも距離感が狂いません。目測というのは二つの眼を使う三角測量です。つまり、長さは身体を使って計測して納得するのが基本です。片目でも距離が分かりますが、これは目標の対象物の寸法が分かっているときであって、視角から距離が分かります。ちなみに、重さの方は知識として覚えなければなりません。重さを実感できるのは、自分の体重の2〜3倍までであって、それ以上の重さは種々の知識を総合して推定しなければなりません。構造物の設計や施工でのミスの大半は、重さの感覚がつかめないことから起こっています。
2008.1 橋梁&都市PROJECT

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