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1. 座標系と長さの概念

1.3 長さの理解


1.3.3 メートル法は地球の寸法から決めたこと

 商工業活動では、長さと重さの基準がまちまちであると困りますので、共通の単位が必要です。為政者側では、税金を徴収するときの基準を決めるため、かなり恣意的に単位系を変更した歴史があります。科学技術の分野では、純粋に学術的な目的を持って単位系の整合が提案されてきました。人の身体の寸法を基準とするのではなく、不変と考えられる長さとして、地球の寸法を基準にすることをフランスが提案し、そのために子午線の長さを正確に測ることを始めました。当時(フランス革命の真っ只中)、地球は完全な球体と考えられていましたので、部分的な子午線の長さの測量から、地球の一周の長さが正確に4万kmになるように1mの単位を決めました。計測技術が進歩して、より正確に地球の寸法を測り直すと、地球の周長は子午線周りと赤道回りとでは異なり、不変量として地球寸法の地位が怪しくなりました。現在では別の不変量に切り替えています。しかし、メートル法を決めて、それを基にした派生的な単位系が普及しましたので、種々の単位はメートル法に換算して比較できるようになりました。フィート・ポンド法と尺貫法の比較も、キログラム・メートル法を介して行っています。
2008.1 橋梁&都市PROJECT

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