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1. 座標系と長さの概念

1.2 座標系の約束


1.2.6 右手系の直交座標系

 幾何学に座標系の概念を導入したのはデカルト(Des-cartes,1596-1650)に始まるとされています。通称でデカルト座標と言うときは、立体的な3方向の座標軸記号にx,y,zを使い、(x,y)を水平面内の座標、zを高さ方向に取ります。三つの座標軸が向く正の向きは、右手の親指・人差指・中指が成す向きと約束し、互いに直交関係にしますので、別称で右手系の直交座標系(right handed orthogonal coordinate system)と言います。デカルト座標は、英語名ではCartesian coordinate systemと使います。座標系と言えば、いつでもデカルト座標系を使うとは限りませんし、記号の使い方も上の約束とは違うことが少なくありません。まず、測量座標系ではXを真北方向、Yを東向き、Zを高さ方向にする約束になっていますので、左手系です。紙の上に平面座標系を考えるときは、記号の組として(x,y)を使います。x軸は水平右向きが普通です。数学ではy軸の扱いを上向き(紙の上で)を正としますが、コンピュータのモニタでは下向き(垂直な画面で)が正です。後者の約束は、英文を左上から右向きに書き出し、折り返しながら続けるときの習慣から決まった方式です。しかし、アラビア文字は右からですし、アラビア数字の表記も右詰めですので、表示のときに厄介な問題になります。英語で数の13から19を言うときは…teenですが、10の位の呼び方は字の並びと逆です。記号として(x,y)座標は水平面内を表すのが常識です。用紙を立てて見ることもありますし、コンピュータのモニタ画面は垂直ですので、現実空間で考えるとy軸が高さ方向を指しています。そうすると、モニタを見る水平の視線方向にz軸を当てることになります。コンピュータグラフィックスの隠れ面処理ではZバッファー法の用語が使われますが、そのため、座標軸の向きに使う文字の約束に混乱が起きます。
2008.1 橋梁&都市PROJECT

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