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1. 座標系と長さの概念

1.3 長さの理解


1.3.1 長さは身体の寸法を基準として理解する

 メートル法が普及するまで、日本では長さの基本単位に「尺」を主に使いました。1尺は30.3センチですが、この長さは手の肘の長さに則っています。英米ではフィートが基本単位ですが、これは足の長さの意味であって、30.48センチ、尺と殆ど同じ長さです。そのため、フィートに当てる漢字表記は呎を使います。アメリカから技術を導入したとき、尺とフィートがほぼ同じであったことが幸いして、構造物の設計図を職人が簡単に判読できました。例えば、関東大震災後の建物の高さ制限が100尺である、などと使われました。尺貫法は表面上使われなくても、伝統的な長さと重さの単位に基づく数え方は残っていますし、昔の設計を理解するためにも、常識にしておくことが大切です。尺を基準として、その1/10が寸です。1インチは1フィートの1/12ですが漢字表記は吋を当てています。大きい寸法の方は、1間が6尺(約1.8m)、60間が1町(100m強)、36町が1里(約4km)です。1町が約100mですので、メートル法との換算が便利です。面積の1町歩が約1ヘクタールになるからです。
2008.1 橋梁&都市PROJECT

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