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1. 座標系と長さの概念

1.1 初等幾何学での作図


1.1.3 形と寸法を言葉で伝える方法を考える

 簡単な図形の特徴を、例えば電話で相手に伝えるときは言葉しか使えません。この場合には簡単な図形に限ります。三角形で言えば、正三角形・二等辺三角形・直角三角形などの言い方に添えて、長さの情報を加えます。話す側と受け取る側で図形の特徴について共通の認識があるのが前提です。少し込み入った図形を伝えるときに、両方が共有するカタログ化した図形の番号や通称を使います。人に代えて、コンピュータに図形の特徴を教え、作図してもらうことを考えるときに使う言葉がグラフィックス言語です。グラフィックスソフトウエアは、コンピュータ側が持つ図形作図の知識を集めたものですので、コンピュータ側が理解するように、人の方で妥協して言葉を選びます。このソフトウエアを自分でプログラミングし、自分で使う限りは自分の責任で処理できます。しかし、ソフトウエアを作成した人と、使う人とが別であることが種々の問題を引き起こします。図形について正確な情報を伝えるときは、数値データを必要としますが、そうであっても、思った通りに正しい図形が描けるとは限りません。その相違が生じる主な原因は、長さの単位と座標系の約束が合わないときです。長さの単位では、mm, cm, m, kmのどれを基準とした数であるか、またアメリカと日本とではメートル法とフィーと法との違いを解決しておきます。座標系の約束違いはもっと深刻であって、図の左右や上下の向きが逆に伝わります。
2008.1 橋梁&都市PROJECT

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