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1. 座標系と長さの概念

1.1 初等幾何学での作図


1.1.4 コンピュータに作図させるとき

図1.1 GBASICの実行画面の一例

 最初に、初等幾何学の代表的な例題として、三角形の外接円を描くことを考えます。用紙の上に手書きで作図するときは、適当に三点の位置を決め、定木とコンパスを使います。道具を使い、幾何学的原理を応用して描く図を用器画と言い、自在画と区別します。道具を使う作図には技法が必要であって、これを用器画法と言います。道具を使っても、手を使う作図には上手下手があります。これは技能による差であって、練習を重ね、経験を積むことで上達します。実践的には製図技術がそうです。この作業には、製図板と種々の製図用具を使います。学問としての幾何学は、外接円の中心が三辺の垂直二等分線の交点として求められることを証明してくれます。実際に外接円を描くとき、定木とコンパスをどのように使って二等分線を引くか、の実践的な知識が必要です。これが作図法です。外接円の作図法など、基礎的な作図法は中学校の数学で習いますので、幾何学の専門書では、改めてそれらの作図手順を説明することは多くありません。また、作図の過程で使う補助的な線などは、完成図では大部分が消されます。手を使う作図に代えて、コンピュータを使って作図させることは、形を変えた用器画法です。道具がコンピュータ一式、技法がソフトウエアに当たります。コンピュータを使う作図では、手書き作図の上手下手に関わる技能差が無くなりますが、新たに、ソフトウエアを使いこなす技能(知恵)が要求されます。図1は筆者の開発したプログラミング言語GBASICの実行画面の例です。この図を作成するまでに、どのような道具・技法・技能が使われるのか? この説明には、非常に多くのページ数が必要です。したがって、省略なしに詳しく説明をすることがこの連載を計画した目的の一つです。
2008.1 橋梁&都市PROJECT

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