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1. 座標系と長さの概念

1.1 初等幾何学での作図


1.1.2 作図法は別に研究されたこと

 初等幾何学から派生した一分野に、モンジュ(G.Monge,1746-1818)が始めた画法幾何学(descriptive geometry)があります。工業製図など、実用を目的とするときには図学(graphic science)と言います。技術教育の場では、必修教科の一つです。立体的な図形を平面的な図形で表すと、幾何学的には3次元図形から2次元図形への変換になって次元が下がります。そのため、元の立体図形の形状と寸法を正しく伝える表現法として投影法が研究されます。これには種々あります。代表的なものは、地球のような球面上の図形を平面図に落とす地図の作図法と、立体図形の平行投影法と透視投影法(perspective projection)が身近に多く見られます。尤も、我々の生活空間では地球の丸みを考えるまでもありません。透視図法は、絵画では遠近法と言います。日本では通称でパースと呼ばれています。定木とコンパスだけで、幾何学的に正確な投影図を作図するのはかなりの技術が要ります。しかし、コンピュータグラフィックスを応用することで、投影図の基本骨格を描くことが、簡単にできるようになりました。このとき、眼で見て不自然に見えないように、絵心の有る人が手を加えて、部分的に強調や省略をしないとよい作品になりません。工業で使われる図面を作成することを工業製図と言います。この作図法は細かな注意事項を集めたものですが、言い換えれば、実務的に意義を持たせた強調や省略の約束を集めたものです。デザインと称して示すイラストは、絵心があれば小学生もデザイナとして持ち上げることもできますが、工業的には設計図とは程遠い作品です。絵を描くだけのデザイナは殆どが幾何音痴です。
2008.1 橋梁&都市PROJECT

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