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12. 実用文書作成と話し方

12.4 エピローグ


12.4.10 文書の保存は紙に限ること

 文書の保存のことを考えるとき、物理的な記録媒体の寿命が問題になります。文書の場合、和紙に墨で書いたものは、虫除けや防湿に注意すれば千年の保存に耐えることが歴史的に証明されています。一方、新聞紙などの酸性紙が自然に変質してボロボロになっていくのは実感されていると思います。銀塩の写真記録は百年の歴史がありますので、マイクロフィルムによる記録の保存は、現状では最も信頼性が高いものです。コンピュータの記録媒体である磁気テープやディスクの歴史は未だ新しく、歴史の試練を経ていません。また、規格が目まぐるしく変ってきましたので、信頼性は高くありません。磁性材料は年月とともに磁性がドロップアウトして読めなくなりますので、定期的なバックアップが必要です。CDなどの光ディスクはドロップアウトが無いと言われていますが、まだ歴史的な評価が定まっていませんので保存媒体としては慎重に成り行きを見る必要があります。「橋梁と都市Project」は、2010年度を持って休刊しますが、新しい形態の雑誌サービスへの飛躍として、時代を先取りする方法を模索しています。コンピュータの記録媒体が読めなくなることの被害はかなり現実的です。大学などで、研究の基礎データが読めなくなるのは、知的財産の喪失ですので非常に重大なことなのですが、眼に見える建物や器財などだけを財産と考えていると評価を誤ります。現在は、ソフトウエアがハードウエアと同等、もしくはそれ以上に価値を持つ時代になってきました。
2010.12 橋梁&都市PROJECT

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