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12. 実用文書作成と話し方

12.4 エピローグ


12.4.5 英語に訳すことを意識してあること

 前の12.2節では、他言語に翻訳するとき、中間言語に英語を使うことを解説しました。これを意識して、翻訳調にならず、読み易い日本語にするための文章作成作法について、筆者は幾つかの試みをしてきました。筆者の文体は「です・ます調」です。主語は文頭にきますが、主語であることを示す助詞「は」の直後に読点を入れます。日本語では動詞が文末にきます。主語と動詞が離れ過ぎると、文の理解が難しくなりますので、意識して文単位を短くしています。述語の「です」で終わる文は、英語ではbe動詞に当たり、「ます」で終わるのはそれ以外の動詞を当てることになるのが経験的に分かりました。この文体では、形容詞の終止形の使い方が幾らか不自然に聞こえます。例えば「美しいです」のように、終止形が重なります。形容詞は名詞に繋げるのが自然だからです。また「です・ます調」は、否定文が少し長くなるのが欠点です。一方、少し公的な言い方の「である調」では、be動詞を当てる使い方が基本になりますので、動詞の言い切りのとき、文末表現が苦しくなります。単純に動詞の終止形で済ますこともできます。しかし、ぶっきらぼうに響くことを嫌った「することである・するものである」の言い方が増えます。規則を書くとき、「するものとする・することとする」の言い回しが眼につくのも、心理的には同じ作用の結果です。
2010.12 橋梁&都市PROJECT

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