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12. 実用文書作成と話し方

12.3 実用文書のまとめ方


12.3.5 ここでは文章作成についてだけを扱います

 実用文書は、個人的な感情や心で思ったことを省きます。文学的な表現も抑え、伝えたい具体的な項目に落ちがないようにします。その項目を、英語では5W1Hで表します。昔の軍隊では「いつ、どこで、だれが、なにを、どうした」と報告する訓練をしていました。これに「なぜ、どうやって」を加えると5W1H(what, when, where, who, why, how)に対応します。作文教育で、文章作法を書いた多くの書物では起承転結の構成を一種の法則のように主張しますが、実用文書に応用するときには注意が必要です。それは、「転」のところの扱いです。今までの論理の流れから、それるような構成に成り易いからです。「転」を省いた起承結の三段落構成は「まえがき・本論・結論」のように筋の通った構成になります。書いた文章が良い文章であると判断するときに使う基準は、一般論で言えば、誤字・宛て字が無いこと、特殊な用語や言葉遣いがないこと、主語述語の構成が正しく、文章に捩れがないこと、などです。日本語は英語に比べると文法が少し曖昧なところがあります。中間言語に英語を意識し、英語に翻訳し難い構文は原則として論理的な構成から見ると悪文になります。文章を直すことを添削といいます。ワードプロセッサの機能が向上してきましたので、文字並びを物理的に判断して校正することが便利になりました。ただし、同音異義的な仮名漢字変換のミスは、人の眼でしか見つけられません。一方、用語や言い回しを吟味することを推敲と言います。この全体が文体であり、個人の特徴が表れます。実用文書では、個性を前面に出さないようにする客観的な基準を決めることがあります。
2010.12 橋梁&都市PROJECT

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