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12. 実用文書作成と話し方

12.2 話し言葉と書き言葉


12.2.5 複数の言語間の翻訳には中間言語を使う

 世界には多くの言語があります。話し言葉の段階で、二言語間の対話に、間を置かないで同時通訳を立てるとき、例えば日本語と英語とでは、日英・英日で別の通訳者が当たります。そうすると、N種類の言語を使う会議の環境を考えると、通訳者はN×(N−1)人が当たることになります。この不便を避けるため、国際会議では公用語を英語とすることが多く、英語以外の言語環境の人は、自国語と英語との通訳をすればよいので、通訳者の数は2Nで済みます。このように使う共通言語を中間言語と言います。英語自体も、イギリス英語とアメリカ英語の区別があり、多様な方言や習慣がありますので、中間言語に使う英語は、必ずしも英語を母語とする人たちの話す英語と同じではない標準化が意識されます。英語であっても、曖昧さが生じないように、また、論理的な整合性を持たせ、レトリック的な表現を避けます。ここまでは話し言葉を考えています。機械翻訳はコンピュータに話しかけ、コンピュータから答えを得る二段階の翻訳をします。ここで、コンピュータが理解する中間言語を英語に設定します。この英語は、文字コードを使った書き言葉です。英語を文学的な研究対象にすると、非常に奥行きが広く、かなり難しい課題もあります。しかし、英語自体はとっつき易い性質があって、論理的な表現に適した面がありますので、翻訳を扱うときの中間言語として適しています。コンピュータを介して多言語間の機械翻訳を計画するときも、二度手間に見えますが、英語を介して二度の翻訳をさせます。したがって、日本語ならば、日英間の翻訳の精度を上げることだけに注意を払います。
2010.12 橋梁&都市PROJECT

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