目次ページ  前ページ   次ページ

12. 実用文書作成と話し方

12.2 話し言葉と書き言葉


12.2.3 表記と発声とは一対一に対応しない。

 話し言葉を文字並びに落とし、それを見て発声することは、二回の変換です。話し言葉は、抑揚(intonation)、強弱・高低アクセント(accent)、なまり(dialect)の違いがありますが、書き言葉に表すことができません。文字表記が発声を変えることもあります。ワードプロセッサ(ワープロ)を使って文書を作成するとき、ローマ字入力で仮名に変換するときは、ほぼ一意に変換されます。仮名並びから目的の漢字に変換するときは、幾つかの操作上の規則があります。例えば、発声では「めーじ・しょーわ」が普通ですが、「めいじ・しょうわ」と入力し、幾つかの同音熟語の辞書表示から「明治・昭和」を選びます。中国語用のワープロでも、四声の区別を入力できませんので、同じように辞書表示から選択する使い方です。ワープロ操作では、人は発声する文字並びを頭の中で発想し、モニタで文字遣いの正誤を確認しています。話したことを、すぐに文字に書くことを速記(shorthand)と言い、速記術(stenography)の用語があります。文字書きを早くするため、独特の記号表記で書いて、後で正しい文字に書き直します。欧米言語は、表音文字を使っていることもあって、話し言葉と書き言葉に大きな違いがありません。秘書の技能として速記術と英文タイピングは必須です。速記者に代えて、パソコンを使って話し言葉をそのまま文字並びに変換することの音声技術は、未だこれからの課題です。逆向きに、テキストファイルになった文書を読み上げて音声に直す方の技術は、表音文字のローマ字を使う英語では、古くからパソコンの環境で実用されていました。日本語での応用は、発展途上です。
2010.12 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ