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12. 実用文書作成と話し方

12.1 機械翻訳の見方


12.1.3 まず正しい日本語の作文と話し方が重要

 実用文書と言う言い方があります。履歴書、借金証文、手紙は、典型的な実用文書です。英語ではbusiness letter(商業通信文)です。文芸作品のような自己満足的な作文と対比する形式の書き物を指します。案外なことに、実用文書の書き方を系統的に、また、公的に教育する場はありません。言わば、見よう見真似で覚えます。企業に入社した新入社員には、言葉遣いや礼儀作法の教育をする例が多いのですが、これが、実用的な話し方です。これらは、本来、自分の責任で覚える個人的な教養です。科学技術が関係する場では、論文やレポートが実用文書です。この書き方に関しては、英語ではtechnical writingの用語があり、日本以外の大学では一つの教養単位になっています。多くの言語環境から学生が集まることから必要になる科目です。日本では言語環境が一つですので、その必要性の意識が育ちませんでした。口頭で発表する場では、一方的な講演形式と、会議で交わす対話にルールが必要です。こちらも系統的な教育の場がありません。この教育の場を考えるときは、日本語も、これを外国語の一つとして客観的に扱う態度が必要です。ここからコンピュータの出番も考えます。
2010.12 橋梁&都市PROJECT

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