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12. 実用文書作成と話し方

12.1 機械翻訳の見方


12.1.2 日本語と外国語との比較で相互の特徴が分かる

 日本語を外国人に教えることの課題は、戦時中にもありました。戦後は、外国人の留学生を日本に受け入れるようになってから重要になりました。それに伴って、外国人から見て、日本語そのものの構成について多くの発見があることも分かってきました。例えば、「な形容詞・い形容詞」「なに名詞・する名詞」の切り分けは、国語文法にはありませんでした。作文も話し方も、その原稿は人が創作するのであって、コンピュータにその能力はありません。人の方で、何かのヒントを与え、それに応答するように仕組むと、あたかも知能があるように振る舞うことができます。この先駆的なプログラムは、ワイゼンバウム(Joseph Weizenbaum, 1923-2008)が1966年に開発したELIZAです。詳細は省きますが、当時、擬似的にもコンピュータと対話する機能を持たせたプログラムは、新しい衝撃でした。パソコンが普及したのは1970年代の後半からですし、自然言語処理が一般化するのも1980年代の半ばからでした。ELIZAは英語同士での擬似的な対話を構成しますので、機械翻訳とは異なります。翻訳は、元の構文を分析して、対応する別の言語の単語と入れ替え、単語並びも変えるのですが、あらかじめ辞書と構文のデータをコンピュータ側が準備しなければなりません。逐語的な処理では意味を必ずしも正確に伝える文になりません。ここに論理的で、かつ知的な解決法が必要になります。
2010.12 橋梁&都市PROJECT

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