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11. グラフィックス言語の解説

11.2 図を描く装置


11.2.5 オブジェクトの考え方が生まれたこと

 文字は小単位の図形です。プリンタにテキストを書き出すことと、線図で図を描くこととは、図形の並べ方や描き順に固有の習慣があります。グラフィックスの見方をすると、決められた用紙領域を図形単位で埋めていくことです。そこで、図形を部品化する考え方が生まれます。通常、円・矩形などは単位図形(オブジェクト)と考えることができます。これを、より細分化すれば、線分の集合と見ることができます。線分は、図形を構成する最小部品であると考え、これもオブジェクト(物)扱いができます。部品を組み合わせて、複雑な図形に構成する考え方がstructured graphicsの用語として現れ、転じて、オブジェクト指向グラフィックス(object oriented graphics)の概念が使われるようになりました。ここでのobjectは、図形を構成する過程として、部品も完成図形も指します。作図のプログラミングは、object oriented programmingと総括して言います。作図のソフトウエアは、幾つかの部品図形のメニューを揃え、これを選択し、変形や移動の操作を加えるような機能を持ちます。図形制作過程のデータをファイルに記録したものがグラフィックスのメタファイルです。このように計画すれば、図の修正はファイルの中の部品単位で行わせることができます。CADのソフトウエアは、この方法を採用しています。作図作業は、グラフィックスモニタ上で対話的に進めることができますが、裏でこの作業過程がメタファイルを目的として記録されるようになっていることが、単純なお絵描きソフトと異なります。メタファイルのファイル構造として、テキスト形式とバイナリー形式が選択できることがあります。汎用性があるのはテキストファイルですが、ファイルの寸法が大きくなる欠点があります。完成図形のビットマップデータのファイルがグラフィックスファイルです。全体をビットマップ形式*.bmpでファイル化すると、余白部分のデータも必要になるので、ファイル寸法が大きくなる欠点があります。この無駄を省く圧縮形式のファイル構造が研究され、*.jpg、*.gif、*.tifなどが利用されています。
2010.11 橋梁&都市PROJECT

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