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11. 二平面の交差計算と応用

11.2 面の交差


11.2.6 幾何モデルの考え方も生まれたこと

 手作業で自由な図形を描くと、全く同じ図形を何枚も作ることはできません。個性的な画家のオリジナル作品は、独創的なアイディアと技術に対してと、一品物であることで価値を評価しています。彫刻も同じです。工業的に作成される物は、同じ形状を複数の人手を介して複数作成しますので、形状の情報を幾何学的に決めます。これを幾何モデルと解釈するようになりました。工作機械は幾何学的な原理で動きを制御します。加工したい形状が自由な形状に見えても、数学原理を踏まえて形状を定義しておかないと製作ができません。設計段階で成品の形状を図面で表すとき、正確に実物を写すように描くのではなく、幾何モデルを描きます。正確な尺度(縮尺など)を使うと、描き難いこともありますので、多少のデフォルメが許され、寸法や注記を記入して正確な情報を補います。プロッタは機械的な装置です。ペンに代えて工具を動かすコンピュータ制御の工作機械と同質の装置です。コンピュータ制御で図形を描かせるCADの場合と、コンピュータ制御で材料を加工するCAM(Computer Aided Manufacturing)の場合とでは、同じ形状を対象としますが、別々にプログラミングをすることに無駄があることが問題になりました。この解決の一つの方法が、同じ幾何モデルを定義して、製図にも製作にも使うことであって、これをCAD/CAMと総括して言うようになりました。特に、立体的な形状の場合には、透視図を作成して、実物を製作する前に種々の検討ができることが大きな利点です。模型を作って検討することも行われますが、それに代わるグラフィックスシミュレーション技術が便利になりました。
2010.11 橋梁&都市PROJECT

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