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10. データベース言語SQLの解説

10.1 データベースの概念の変化


10.1.5 ファイル構造が特殊になること

 データベースの材料データを構築するファイルは、DBMSと関連して物理的には複雑な構造です。このことは、単純なデータベースとしても使うことができるEXCELで経験できます。EXCELのデータファイルは、拡張子(.xls)が付きます。「パソコンのOS;実行プログラムEXCEL.EXE;*.xlsファイル」の全体が、言わばDBMSです。メインフレームであるコンピュータの能力が低かった時代は、データベース専用に一台のメインフレームを使いました。ファイルを単純なテキストエディタで開いて中身を見ても、意味のあるデータ並びとして利用できません。また、実行単位のEXCEL.exe本体のバージョンが異なると、ファイル自体も読めなくなる被害を受けます。同じことはACCESSでも経験します。ユーザレベルからは、元のデータベースのファイル内容を直接読み書きすることを制限する、間接的な方法が考えられています。中身が見えませんので、カプセル化(encapsulate)などと言います。データベースの用語では、中身を問い合わせる手続きがクエリ(query)です。ユーザ側が心得ておく最小限の知識は、データの論理的な構造です。通常、パソコンのユーザレベルで最も汎用性の高い論理構造は、表の項目をテキスト形式にしたものです。EXCELは、拡張子*.CSVの付いたファイルが、テキスト形式のファイルとして読み書きする機能があります。EXCELでは、一つの表の行数と列数の最大寸法に制限がありますので、一つの表を一つのテキスト形式のファイルで扱うことができます。データベースは、部分的には表の形で利用するとしても、全体として行数と列数の制限がありませんので、或る検索条件のもとにデータ数を絞り込んでから、テキスト形式に変換して利用する方法が必要です。つまり、データベースの利用では、問い合わせ(query)のソフトウエア技術が必須です。この中身は高度に専門的ですので、一般ユーザの手に余ります。したがって、本格的にデータベースの構築と利用を計画するときは、現状では、マイクロソフト社オラクル社のソフトウエアシステムを使うことしか選択の自由度がありません。
2010.10 橋梁&都市PROJECT

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