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10. データベース言語SQLの解説

10.1 データベースの概念の変化


10.1.2 モデルと言う言葉

 上の段落で使ったビジネスモデルのように、何かの現実的な事物を対象として研究をするとき、非現実的なモデル(model)に置き換えることをします。物理モデル・力学モデル・数学モデル・論理モデル…などです。模型と訳すと、具体的な形を持つ意義があります。データベースの中身は、視覚的には数字や記号も含めた文字並びの集合ですが、一固まりの集合に意味があるデータ単位が論理モデルです。集合名詞としてのデータ一単位を、外部の記憶媒体に保存するときの物理モデルの形態がファイルです。データベースはファイルの集合です。コンピュータのメモリ領域に取り込んで処理の対象とするデータは、実体が眼に見えませんので、抽象モデルまたは仮想モデルです。データ型や配列などは、数学を踏まえた抽象モデルです。プログラミングは、すべての作業を仮想の世界を扱います。或る事物をコンピュータの処理に載せるようにモデル化することは、学問的に言えば仮説を立てることです。この仮説が現実によく合うかどうかのテストをする仮想の実験がシミュレーションです。コンピュータを利用する利点の一つは、仮説が有効であるかどうかの実験と評価が仮想世界の中でできることです。或るデータベースの構築ツールを、現実問題に採用するか否かの判断は、最初、小規模のプロトタイプ(試作)モデルから始めます。したがって、場面に応じてモデルを変える弾力的な発想も重要です。
2010.10 橋梁&都市PROJECT

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