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9. データベースと文字処理

9.2 文書の整理


9.2.3 データベースの管理はメモの整理である

 メモ用紙やノートに書きとめたものは情報です。私的な利用ならば、頭の中に記憶できればメモに取る必要がありません。メモの内容を後で取り出す手続きを考えておかないと、メモは生きません。データベースは、判り易く言えば、メモを組織的に集めたものです。ある内容のメモを取り出す方法を、コンピュータを使って便利にする工夫が、データベース管理システム(database management system: DBMS)です。狭い意味で言うデータベースは、二次資料的なメモやデータを単に集めたものを指します。広義に解釈するときは、データ更新と検索のソフトを合わせた全体を指します。これを物理的に扱うとき、カードが媒体として良く使われます。メモを集め、自分で整理するのは大変ですので、誰か、つまり専門家に整理してもらうことを考えると、これが一つの職業、例えば秘書になることが分かると思います。企業において、あらゆる雑用を取り仕切る部署は庶務課や総務課などの名称がつきますが、平たく言えば雑用係り、整理係りです。大学の研究者は、秘書を個人的に採用している人もいますが、大部分の人は自分で雑用をこなさなければなりません。そのために費やされる時間と費用とが本務の教育と研究を圧迫します。整理は、専門家を育成して、その人にやってもらうのが合理的です。自分の資料の整理は人任せにできないとして、自分用の二次資料の整理を目指してデータベース化に挑戦しても、使い物になりません。結論から言えば、私的に作成し、私的に利用するだけのものはデータベースではありません。複数の人が、同じまたは個別に異なる要望をもって、二次資料を必要とするときに、データベース化が役に立ちます。
2010.9 橋梁&都市PROJECT

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