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9. データベースと文字処理

9.1 図書館の利用


9.1.4 文書作成の次に保存と利用を考える

 貴重な宝物は、権力または財力がないと保存しておくことができません。宝物を金銭に換算して価値を判断することも行われますが、所持して保存するための責任費用と考えることもできます。貧乏な庶民レベルでは、持っていても扱いに困ります。文化財は、庶民にとっては実質的な価値がありませんので、放っておくと失われます。革命思想は、既成の権力や財力に対する一種の嫉妬ですので、歴史的に見ても、中国の文化大革命のように、略奪や破壊の標的に多くの文化財が狙われました。書物も、焚書(ふんしょ)の古事で知られていて、例外ではありません。現在では出版物が溢れていますが、基本的には、製本された書物を財産扱いします。したがって、保存を目的とした保存図書館(アーカイブ)は、閉鎖的に管理された書庫を持ちます。従来、図書館が扱うのは厚手の表紙(ハードカバー)を持って製本された書籍や、文化財的な価値のある文書が主な対象でした。雑誌は、責任のある機関が発行したものを、製本して、始めて管理の対象にしました。しかし、多様な出版物が溢れるようになって、混乱が始まりました。簡易な製本の雑誌やペーパーバッグ本(ソフトカバー)の扱いが、まず問題でした。公共図書館は、一般の人の利用も考えますので、従来の古典的な管理に加えて、一般的な資料を扱うことの対応に悩むようになりました。
2010.9 橋梁&都市PROJECT

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