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9. データベースと文字処理

9.1 図書館の利用


9.1.3 情報などの用語の意義

 情報は、informationの訳に当てた和製漢語です。最初に使ったのは、軍医でもあった森鴎外(1862-1922)である、とするのが定説です。これは、「敵情報告」の中の二字を取ったものです。諜報の方がinformationに近い漢語ですが、スパイ活動に関連した意義で使いました。資料とは、その情報元である文書本体です。一次資料とも言います。英語のsource(ソース)が当たります。データ(data)は、英語での説明にはcollection of factsとしています。こちらは実体から得られた別形態の二次資料です。英語のfactは、事実記録したもの、とします。記録は主観または意見が入っていないとします。データは、測定装置で得られる、眼に見えない電気信号なども含みます。情報は、データとほぼ同義です。ただし、何かの言語を介して文書化し、眼に見える形態に変えたものを指します。情報はデータの集合であるとの解釈もします。これには、英語の名詞表記の習慣からくる区別が関係しています。dataはdatumを複数形にした名詞ですが、(複数の)記録の集合を1単位として表したいときは、単数形で利用するようにもなりました。"information"は、不可算の集合名詞です。どちらも、複数の種類を表すときは、物質名詞のように、例えばtwo pieces of informationのように使います。コンピュータが情報を扱うとき、眼に見える文字や数字も、内部では不可視のデジタル化したデータに直します。データの元にする書物や文献など、実体を蓄積保存する施設が図書館(library)です。図書以外の実物保存の施設が博物館(museum)などです。アーカイブ(archive)は、コンピュータのファイル管理で眼につく用語になりました。こちらは保存図書館の意味からきています。レポジトリ(repository)の用語も見ます。保管場所と言う意味です。コンピュータ用語の場合には、データベースの集合をさらにデータベースにまとめた、より大きな集合を扱う意義で使うようになりました。英語ではメタデータベースと言います。ファイル集合をさらにファイル化する概念をメタファイルと言います。考え方は、階層的な分類で、一段上の分類になる集合の呼び名(一般名詞)です。
2010.9 橋梁&都市PROJECT

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