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9. データベースと文字処理

9.1 図書館の利用


9.1.5 書物の利用形態は三種類

 個人が書物を保存する場合は、所蔵点数としては知れたものです。その実質的な利用の形態を、筆者は三種類に分けています。
 ・一度読めば済む一過性のもの(小説・新聞・雑誌など)、
 ・何度も利用するもの(辞書・参考書など。愛読書も含めましょう)、そして
 ・消耗品的に使うもの(教科書・テキスト・コピーした資料など)
趣味的に保存するものは、利用とは言えません。俗に言えば、見せびらかしか、自己満足が目的です。利用状態では、書き込みなどをして汚すこともします。物を大切に扱うことは美徳です。汚して使うのは消耗品扱いをすることと同じですので、長く保存する対象に考えません。研究者が退職などで資料や蔵書を処分しなければならなくなったとき、私物を図書館などに寄贈する例もあるのですが、受け入れ側が迷惑することも少なくありません。利用を考える場合は、図書館を介して公的に分類・登録した上で私的に借り出す形にしてあれば、この問題の大半は解決されます。共通に利用できる小規模の図書室でもあれば、一過性の利用ならば実質的には便利です。しかし利用者(ユーザ)の利用方法(マナー)で問題が多く発生します。個人が書物を排他的に保存したがる理由の一つが、このマナーにもあります。盗難や紛失もありますが、コピーが便利でなかった頃、かみそりでページが切り取られる被害に悩まされたものです。共通に利用できる図書の整理と保存は、書庫を設けてそこに書架を置きます。利用者が書庫に自由に入れて、借り出すまでもなく、見るだけで済むような管理方式を開架式と言います。これに対して、書庫への立ち入りを制限し、司書を介して書物を借り出す方式や、閲覧室を設けて閉鎖的に利用する方式が閉架式です。庶民レベルの書物の利用は、書店での立ち読みと、貸し本屋形式の利用です。古書店は、借用の対価を払って入手し、利用が済めばそこに売りに出すことで、利用のループを構成しています。考えてみれば、合理的なシステムです。日本の書店は、開架式の展示が普通です。インターネットを介するカタログ販売は閉架式と言えます。欧米の書店は閉架式に近いため、立ち読みは追い出されますし、買わなければ読めないような包装もあります。
2010.9 橋梁&都市PROJECT

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