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8. 論理を表す文と式

8.4 プログラミングに使われる修辞学


8.4.4 日本の実社会では三分法が良く使われる

 文章表現の中での否定の使い方と、論理学での否定の使い方とは同じ意義になりません。論理演算では、否定は反対に変換する意義です。逆とは違います。例えば、「行かないこともない」と言うのは、部分肯定です。「必ず行く」意味ではありません。ここでは「行く」と言う動作が複数あって、集合の概念があるからです。英語の環境では「yes・no」を使う二分法の表現を基本に使いますが、これは集合であっても二種類しか考えない場合です。日本風は三分法も多く使われ、「yesでもnoでもない」保留の意思表示も使います。言葉としては、「上中下、左中右、勝ち負けと引き分け、じゃんけんの相子、数値の正負ゼロ」などがあります。欧米の言語習慣からみると、日本風の三分法は曖昧な判断であるとして嫌います。しかし、二分法を「正誤」または「正義」に沿うか沿わないかの判断に応用すると、実社会では深刻な対立になることが起こります。宗教観や信条の違いで「正義」の基準も異なりますので、妥協が成立し難いのです。日本風の三分法であると、争いの場の解決方法に、「引き分け、相子」を使うことができますので、「仲直り」の手段を探すことができます。
2010.8 橋梁&都市PROJECT

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