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8. 論理を表す文と式

8.4 プログラミングに使われる修辞学


8.4.3 文章論理には否定と逆の言い方があること

 文章論理には、用語として否定との使い分けがあります。その例として「良薬 口に苦し」で説明します。これは「良い薬(P)であれば苦い薬(Q)」と言う意義ですので、論理式は「P⊃Q」の内含(IMP)です。(P)、(Q)、(P⊃Q)それぞれは命題単位です。内含の論理式は交換則が成立しません。「苦い薬(Q)であれば良い薬(P)」と言うのは前の文の逆であって、論理式は「Q⊃P」です。一方、「良い薬(P)であれば苦くない(!Q)」は、最初の文の否定です。「良い・良くない」「苦い・苦くない」の組み合わせでできる内含は8通りあります。これらの相互の関係を表す論理学の用語に対偶対等があります。文章論理では、論理の当否を「真、偽」ではなく、「ほんと、うそ」で仕分けます。「良薬 口に苦し」のように、命題が単独に示されているときは、すべて「ほんと」扱いをして論理を展開します。途中または結果が「うそ」になる論法が詭弁です。
2010.8 橋梁&都市PROJECT

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