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7. 外国語としてのプログラミング言語

7.4 データの定義と名前で宣言する儀式


7.4.3 集合の集合と見出しの名前

 上で説明した数表と対照的な表の使い方はEXCELの表に見られます。例として個人の住所表記のデータを作成することを考えて見ます。データ要素は、姓名、男女の区別、年齢、住所、電話番号、E-mailのアドレスなどのように型の違うデータの集合が行方向に並びます。住所で言えば、例えば、「愛知県 名古屋市 名東区…」のような並びで表します。「県 市 区…」が階層の見出しに使われる集合の名前、「愛知 名古屋 名東…」はデータですが、固有の名前です。これを、表計算ソフトEXCELで使うような表の形にまとめることを考えます。列の見出しに「県、市、区、…」と書きます。英語の言い方に当てると、見出しは単数形の「prefecture, city, ward, …」にします。住所表記では、県の見出しの列に、愛知が列方向で重複して現れますので、別に県名を集めた表を作るとします。この表の見出しは、日本語ならば「都道府県」とするでしょうが、英語方式ではprefecturesのように複数形を見出し語にします。これは、集合名詞の意義です。英語では普通名詞を使うときには、単数・複数を神経質に区別し、それを受ける動詞形も変えます。県単位で見ると、県内には複数の市がありますので、県名は単数形で表記しても、市名の集合を扱う集合名詞の性格があります。「都道府県」と言うときは、県の集合を言うときの言葉です。これは集合名詞のさらに集合を表す名前です。英語の場合、単数形のprefectureを市の集合を意味すると解釈させると、複数形のprefecturesは集合の集合を意味します。これをprefectureのcollection(コレクション)であると説明することがあります。日本語では、関東・中部・関西の地区名は、幾つかの県の集合(collection)の意義ですので、個別のコレクションに名前を付けて区別しています。
2010.7 橋梁&都市PROJECT

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