目次ページ  前ページ  次ページ

7. 外国語としてのプログラミング言語

7.3 動詞の意義と使われ方


7.3.2 目的語の並べ順で混乱が起こる

 他動詞は、基本的に直接目的語(object)を一つ必要とします。そのときの環境によっては、目的語がデフォルトになっていて、動詞用単語一つだけを使う場合があります。英語では、同じスペルの語を名詞にも動詞にも使います。命令文として使うときは、誤解しないように、doやexecuteなど、明示的に命令を示す動詞を文頭に補助的に付けることもありますが、普通はこれも省きます。「やり・もらい」のときに使う授受動詞は、二つの目的語を取ります。日本語の標準は、直接目的語は助詞の「を」を取り、間接目的語は「に」を取ります。日本語では、目的語の語順を変える言い方であっても、助詞が助けますので、意味を間違えません。英語の授受動詞に当たるmove, giveなどでは、目的語の並び順の標準形は、他動詞→間接目的語(に)→直接目的語(を)の順です。例えば、「give him the book」です。しかし逆順にする言い方もあって、そのときは前置詞が入り、「give the book to him」です。この使い分けは、言語習慣として覚えます。目的語以外に、説明を補う語や句があると、見掛け上、複数の目的語が並びます。文章で表すときは、前置詞などと組み合わせますので誤解しません。プログラム文にするときは、前置詞を省くこともしますので、語の並び次第では論理的な関係の理解が混乱することが起こります。この例は、代数式の表し方を説明する後の項で取り上げます。
2010.7 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ