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7. 外国語としてのプログラミング言語

7.2 言語が使われる環境


7.2.1 対話する場所を意識すること

 話し言葉は、場所と場面によって言葉遣いが変わります。身分制度が厳しいと、上下関係で言い方が変わります。民主主義の社会では、極端な敬語や謙譲語を使うことはそぐいません。しかし、仮に身内であっても、乱暴に過ぎず、丁寧な言い方が望ましいのは当然です。ただし、言い方次第で丁寧にも乱暴にも聞こえますので、書き言葉では表現できない作法があります。人と人との対話では、双方で了解済みのことと思い込んでいることは、あえて言葉に出すことをしないことがあります。また、レトリックもあって、表現と意味することとが違うこともありますので、相手が同じように了解しているとは限りません。これが時として誤解を生みます。コンピュータとの対話は、この面倒な使い分けがありません。この対話では、デフォルト(省略:default)は、決められた初期値があることを意味していて、最初から無いのではありません。ユーザがコンピュータと付き合うとき、かなり多くのデフォルト値は、ユーザの眼に触れません。コンピュータの使い方が難しいことの理由の大部分は、デフォルトの部分の意味と機能とが分からないことにあります。コンピュータの利用が一般的でなかった1950年代までは、コンピュータを使う場所が閉鎖的な環境でした。そこで使う言葉は、主に専門用語だけでした。パソコンが一般事務に使われ、また、家庭での利用にも普及するように環境が変化してきました。当然、用語も変わってきます。
2010.7 橋梁&都市PROJECT

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