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7. 外国語としてのプログラミング言語

7.1 英語の常識が必要


7.1.1 日本人は二段階の外国語の勉強をする

 現代の社会環境は、コンピュータを公的にも私的にも広く利用しています。コンピュータそのものを、単なる道具と見ることから始まって、パートナーとして擬人化して付き合おうとするまでの、幅があります。ワープロやインターネットの閲覧に使う道具と見れば、全体、つまりハードウエアとソフトウエアの中身について最小限の知識に止めておいて、使い方を覚えるだけで済ますことができます。コンピュータに何かの仕事をしてもらうには、プログラミング文で作文して、それをコンピュータが理解して実行できるようにする手続きが必要です。この過程(プロセス)は、コンピュータを擬人化し、例えば、児童に接するように教育することと捉えることをします。コンピュータの側には、比喩的に言えば保護者が居て、児童に対する日常的な知識は教育済みであるとします。この保護者は、マイクロソフト社のようなコンピュータのオペレーティングシステムの提供者であって、かなり手ごわいパワーペアレントです。プログラミング文は特別な文章構造です。プログラマは、それを外国語として覚え、その外国語を使って作文する技術を学習し、コンピュータにその言語で話しかけ、仕事をしてもらいます。コンピュータはアメリカ主導型で研究・開発されてきた経緯がありますので、プログラミング言語の多くは、アメリカ英語の方言(dialect)の性格があります。英語風で書かれたこの方言は、英米人であっても、特殊な単語と文法を持った言語として覚えなければなりません。ただし、英米人は、日常言語が英語ですので、マニュアルなどの英文説明書(レファレンス)は、英語の言語習慣を常識とした省略があります。しかし、日本人は、英語そのものが外国語であるハンディキャップを持ち、その上で特殊な方言を学習しなければなりません。
2010.7 橋梁&都市PROJECT

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