目次ページ  前ページ  次ページ

6. 文書の作成技術

6.3 文章の書き方


6.3.6 眼で見ることを目的とする文書がある

 数学・物理・化学の記号式は書き言葉として使います。英字の大文字・小文字、斜体・直立体の区別で別の意味に使うことがありますし、声に出すとき、妙な発音で言うか、元の単語の読みで言う、などをします。コンピュータ言語でも、大文字と小文字とを別文字として扱い、単語の種類を、見て分かるようにする書き方が使われるようになってきました。日本語では漢字と仮名との混ぜ書きをし、漢字の読み方が複数あるので、場面に応じた読み方と書き方をしてきました。欧米のアルファベット系言語は、USAのような頭字語(acronym)を使うと、元のスペルが分からない同音異義語が増え、元のスペルで読むように使うと読み方が表記とは別になります。それを考えると、日本語の仮名漢字混ぜ書きの表記方法は、最先端の手法と言えます。一般的な小説や雑誌など、読み物としての文書は、話し言葉で書きます。漢字の使い方を常用漢字で制限しても、大きな障害にはなりません。眼の不自由な人には読み聞かせができますし、テープ・レコードなどの別媒体を補助に使うことができます。熟語漢字を使う硬い文書は、同音異義語がありますので、眼で見て理解する使い方をします。漢字の使い方を制限されると迷惑なことも起こります。読んで理解することも考えますが、誤って理解される、または、書き手が意図した読み方と違って発声されるのを避ける工夫が必要です。これが、文書の書き方の規則(正書法)を提案する理由の一つです。
2010.6 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ