目次ページ  前ページ  次ページ

6. 文書の作成技術

6.3 文章の書き方


6.3.4 句読点の使い方が難しい

 日本語の表記法では、読点「、」の使い方は、英文のコンマの使い方に比べれば、規則が無いと言えます。逆に言えば、自由に使うことができます。英文は、単語間にスペースがあります。日本語は分かち書きをしませんので、語の切れ目が分からないことが起こります。文書の書き手は、語の切れ目を意識していますが、読む側は、中身を理解しても同じようには読まないことが起こります。特に、漢字の並びは、音訓の読み分けが難しいことがあります。前章までの個別の品詞の説明は、送り仮名を含め、漢字と仮名の組み合わせの規則を整理することにありました。一般的な文書を話者が読んで相手に伝えるとき、僅かな息継ぎとイントネーションを聞き分けて、間違いなく理解します。文書本体にはそれを表す方法がありません。私事(わたくしごと)ですが、筆者の場合には、この原稿を含め、幾つかの書き分けをして、読者が読み易くなるような工夫をしています。その一つは、なるべく和語的な言い方をし、音読み熟語を少なくしています。上に挙げた「私事」は、「しじ」と読むのが普通でしょうが、ふりがなが付けられませんので、必要を感じたときには括弧で読みを入れています。また、語の切れ目に読点「、」を使うまでもないとき、半角のスペースを入れることも試しています。仮名文字が並ぶと、単語の切れ目が分からなくなりますので、形態素解析の効率が下がります。これも、書き手がスペースを入れるようにすると簡単に解決します。このような書き方は、日本語から英語に自動翻訳をするときに仮名漢字混じり文を解析するときに必要になる技法です。ワープロで日本語原稿を作成するときは、仮名文字の連続を形態素解析の課題としますが、それとは逆向きの解析です。
2010.6 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ