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6. 文書の作成技術

6.3 文章の書き方


6.3.1 文字の物理的な並べ方を理解する

 日本語では、文単位の作文ならば、漢字と仮名の使い方と、句読点の使い方が作文技術の主題です。前章までの説明は、文章を品詞に分解した単位で、送り仮名の付け方に関連した文字の並べ方について、正書法の模索をしました。書式と体裁の部分が、英語ではtypographyと呼ばれ、印刷術と訳しています。文書は、幾何学的に言えば、決められた用紙の領域を文字、言わば小単位の図形、で埋めて作ります。書式と体裁は相互に関連があります。ページ単位の体裁は、レイアウトです。書式は、レイアウトと関連付けた構成を言い、表題、見出し、章・節・項の立て方、それらの配置、寸法などです。全体の体裁は、見易さと取り扱いに焦点を置いたデザイン的な要素です。活字の書体、寸法の選択、段落構成、製本などです。文章・書式・体裁の三つの要素は、何を対象として文書を作成するかの目的によって、内容に相違があります。日常的な例には手紙の書き方があります。標準の外形寸法と体裁がありますので、定形外は郵便料金が別です。宛名の書き方は書式に含まれ、大体の決まりがあります。手紙の文章は、拝啓・時候の挨拶・用件・敬具で締め、日付などを加えます。E-mailのソフトは、モニタ上で作業用の書式と体裁部分のテンプレートを提供しています。従来、印刷したい文章は、手書き原稿を印刷屋さんに持ち込めば、書式と体裁とを専門的に処理してくれました。テキストエディタは、手書きに代えて、文字並びの作成だけを目的としたツールです。ワードプロセッサとなると、書式と体裁とを含めた全体を設計し処理するツールです。ワードプロセッサのマニュアルには、多くの印刷関係の専門用語が使われますので、一般ユーザも、それらを理解しなければならなくなりました。
2010.6 橋梁&都市PROJECT

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