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6. 文書の作成技術

6.1 文書に作成する意義


6.1.3 記録を残す目的だけの文書がある

 コンピュータのファイルには拡張子で(.log)を見ることがあります。ログは航海日誌と訳されていて、時刻を付けて作業を記録した文書です。電話や手紙の受発信記録がログです。日記または日誌は、本来、個人が素養として書くものであって、強制されるものではありません。自分の日誌を残し、これを隠居後に自叙伝(autobiography)に編集するのは政治家では一つの嗜みです。企業において、公的な立場にある人は、その立場での日誌を記録し、その企業の歴史を残します。企業自体が編集する自分の企業の社史や記念誌は、特別に編集の組織を作ることをしなくても、日誌を編集すれば済みます。そのため、役職に在る人に日誌を書くことを義務付けることがあります。「良いことずくめ」だけを記録し、後で不利になりそうな記録を残さないことや、意図的な廃棄をすることも起こります。倫理(モラル)照らせば、あるべき姿ではありません。歴史の記録には、かなりの恣意的な改変があるものです。民主主義の時代は、多くの意見を持った人が合議で何かを決める会議が多くなりました。会議の後では議事録を作成するのですが、内容を確認する儀式を経て文書記録として保存します。これは歴史を記録している意味があります。議事録に載せることを目的とする発言や、逆に、削除したい項目などを巡って駆け引きが行われることがあります。議事録は、全員一致の内容にはならないのですが、契約書や密約の書類、少し物騒なものは血判状があります。当事者の一致が条件の書類ですので、全員の署名が必要です。公的な立場であっても、署名は私的に行われますので、この種の書類は、或る期間の保存の後で公開される場合があります。これは、私的に保存するのではなく、公的な保存図書館に保存するべきですが、これらの扱いが日本では未だ未成熟です。 
2010.6 橋梁&都市PROJECT

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