目次ページ  前ページ  次ページ

5. 形容詞・副詞・助詞の話し

5.1 修飾に使う語の分類


5.1.4 「〜的」を助辞として使うこと

 和語の「て・に・を・は」などは助詞に分類し、仮名で使います。中国語で同じような使い方をする漢字を助辞(助字)と言います。「的」の字は、日本に中国人留学生などが増え、中国語の情報が多くなった1980年代以降、眼にすることが多くなりました。その使い方は、和語の助詞「の」とほぼ同じで、例えば「日本的習慣」のように使います。漢字の「的」は、訓読みで「まと」と読み、その意義で使う「目的」などの熟語に使うことが本義です。中国語風の使い方は、例えば「科学的」のように、やや硬い文章表現に使われていました。日本語の語感では「日本の習慣」と言うのが軟らかです。「的」を音で「テキ」と読ませると、英語のromanticのような形容詞語尾にある-ticと似た語感に通じますので、このように造語すると形容詞的な意味に取るようになりました。「〜的」とすると「ナニ名詞化」し、ここに「日本的な習慣」の言い方が受け入れられるようになりました。「的」の解説に、国字の使い方として一部の漢和辞典(角川)にも載るようになりました。中国語の語感で言えば、「の」の意義が二つ並びます。
2010.5 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ