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5. 形容詞・副詞・助詞の話し

5.1 修飾に使う語の分類


5.1.2 形容動詞とは不思議な分類名であること

 大枠的な品詞名として、形容詞と副詞の、機能としての違いは、形容詞は名詞を、副詞は動詞を修飾する語と区別します。語幹部分が同じで、修飾対象が名詞か動詞かの違いで語尾が違う語があります。英語では「beautiful, beautifully」、日本語では「美しい、美しく」のように使い分けます。日本語の(美しい)は形容詞に分類しますので、用言(動詞・形容詞)を修飾する副詞としての使い方(美しく)の形を形容詞の連用形とします。「静かな、静かに」の対も修飾対象で使い分けますが、「静か」を学校文法では形容動詞と命名しています。なぜ、この分類を立てたかを推測すると、動詞の活用形との類似を当てたからと思います。「美しい」は、見かけ上、連体形と終止形とが同形です。「静かな」は文末の終止形に使うときは「静かだ」とするからです。外国人に日本語を教えるときに、形容詞が動詞なみに活用すること自体が論理的に理解できないので、「イ形容詞(例えば;美しい)」と「ナ形容詞(例えば;静かな)」の分類を使います。「ナニ名詞」は、「〜な」「〜に」と付け替えるだけで形容詞と副詞の使い方になる名詞です。「な」と「に」の品詞は何か、と問われると困ります。学校文法では、形容動詞の活用語尾としています。「〜だ」と付ける活用語尾を英語のbe動詞の機能と同じと見ると(第4.3節参照)、形容動詞の品詞分けを必要としません。ここで、困ったことが起こります。ナ形容詞の語幹「静か」に「だ」を付けると、文の終止形になります。イ形容詞の語幹「美し」に直接「だ」が付きません。そのため、「美しいです」の不思議な言い方も、何となく許容されています。これは終止形の言い方二つ繋がっているためである、と意識できるでしょうか? 筆者は「美しいのです」と使います。
2010.5 橋梁&都市PROJECT

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