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4. 動詞の話し

4.5 「態」の違いの表し方


4.5.2 送り仮名の付け方で態を決まる

 一つの動詞が表現する状態の全体が活用です。状態は、時制(現在・過去など)と態(受身・使役・可能)に大きく分けます。その中をさらに細分類するときに活用形を使います。日本語動詞の時制は過去と非過去の二つですし、過去形の作り方も単純です。動詞の活用形には未然、已然の区別がありますが、時制を区別する言い方とは関係しません。動詞の使われ方(態)は、語幹に繋ぐ送り仮名で決まります。送り仮名は多様な文字並びの組み合わせですので、それをさらに文法的に細分して説明することもします。「(さ)せる」「(ら)れる」は助動詞である、と言うのがそうです。実際に動詞を使うとき、ここまでが動詞で、ここから助動詞である、のような区別をしないで、繋いだ全体を一単位の動詞として扱います。一つの動詞の基本形から出発して、幾つかの態に使い分けると、動詞は別の顔を持ちます。元の基本形の動詞を含めた一つグループを構成すると考えるのがよいと筆者は思っています。可能動詞と言う分類を立て、これだけを別動詞扱いとする方法を取りません。このとき、同じ動詞用漢字を使っていても、別のグループになることがあります。その例を、幾つか例示します。このとき、主語の「生物・無生物」、動詞の「自動詞・他動詞」の違いで、論理的に使わない態があります(表4.4)。「照る・照らす」「走る・走らす」は動詞用漢字が同じですが、動詞の意義から見れば別の動詞であって、それぞれ、自動詞と他動詞の対ですので、比較の例題としました。
2010.4 橋梁&都市PROJECT

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