目次ページ  前ページ  次ページ

4. 動詞の話し

4.2 動詞が作る複合語


4.2.2 連用形で止めて名詞で使う複合語が多い

 ここでの複合語は、送り仮名を持つ和語の動詞を組み合わせる造語法の説明です。慣用が定まったものは国語辞書に載ることもあります。しかし、語の組み合わせには、書き手や話し手にかなりの自由度がありますので、慣用されていても辞書に載らない複合語が山ほどあります。例えば「組み合わせる」と使うと動詞ですが、連用形で止める「組み合わせ」は名詞です。前を名詞と見て「組合わせ」と表記しても慣用的には正しく読めます。「組み合い」の使い方もあります。送り仮名をすべて省いた「組合」があります。最後が、典型的な和製漢字熟語です。音で読むと「そごう」ですが、この読みは使いません。音読みで使う中国語風の熟語を和製漢語と言い、中国語の語構成とは違うことが起こります。音訓まぜた言い方を「重箱読み・湯桶読み」と言い、読み手を悩ます問題の一つです。複合動詞の造語法で作られる複合語であっても、動詞としての使い方がなく、連用形で止めて名詞で使う用語が多く見られます。また、この言い方は、軟らかく聞こえ、言わば口語的です。他動詞として使うことができるときに「をする」「する」を付けます。例えば「建て売り、馬鹿騒ぎ」などです。動詞の部分を別の活用形で使うと不自然になります。「雨降り」は、主語が無生物で自動詞を使う合成語ですので、「する」を付ける言い方ができません。送り仮名、特に後ろの動詞のそれを省くと、読み誤り(誤読は漢語的な言い方)を起こすか、意味不明になるか、別の意味に取られます。 
2010.4 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ