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4. 動詞の話し

4.1 品詞に分けるときの動詞


4.1.3 日本語の文法用語にこだわらない

 日本語動詞の活用形の内、連体形は、名詞(体言)を修飾する形として使うので、そう言うことになっています。しかし、その使い方は、後に続く名詞の修飾句を作っています。機能としては、順序を逆にした、英語の関係代名詞(thatまたはwhich)を使って名詞を修飾する使い方です。「〜すること」「〜するもの」の構文は、「what〜」の構文に似た使い方です。「〜するとき」の使い方は、「when〜」の副詞句か、分詞構文の使い方と似ています。連体形は、終止形と同じです。修飾する名詞を主語とする意義があることを考えると、同じ語尾形を使うのは理屈に合います。筆者は、連体形の後が長い名詞句であるとき、意識して読点(、)で区切る書き方をしています。一方、連用形は、後に続く動詞など(用言)を繋ぐのでそう言うのですが、この活用形は、動詞を名詞化しています。英語との類似は、ingを付けた動名詞と考えると納得し易いと思います。例えば、「行き」と「帰り」は連用形ですが、「行き帰り」と繋ぐ使い方は名詞を単に並べたのであって、「行き」が「帰り」を修飾する意味はありません。名詞を並べると、前の名詞が後の名詞を修飾する熟語も作ります(第3.4節参照)。例えば「書き方」は、両方の漢字を訓読みする和語的な熟語名詞です。英語にすると「manner of writing、またはwriting manner」です。連体形で繋ぐ「書く方法」は、音読みの熟語名詞「方法」を和語で修飾したと見れば、副詞句を含めた全体を名詞句にした「the way how to write」のニュアンスが当たるでしょう。ここでのhowは、上に上げたwhatと似た使い分けです。実は、英訳のとき、howとwhatの使い分けは、英語の学習者はよく間違えるそうです。さらに、送り仮名を使わない音読みの「書法」のような漢語の熟語名詞にすると、形式を持たせた硬い文章の顔になり、耳で聞くと、同音異義語の別の熟語と間違えます。 
2010.4 橋梁&都市PROJECT

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