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3. 名詞の話し

3.6 名詞から作る動詞


3.6.2 スルを含む不思議な文

 「〜する」と使う動詞の語幹は、和語にはない概念を表す抽象名詞を多く使いますので、「〜する」を含む文書そのものは、日常の言葉とは離れた硬い文章になります。規則や規約を書いた文書には、「〜するものととする」「することとする」のような表現を見ることがあります。前にある「〜する」はスル名詞を受けるのですが、後ろの「する」は動詞の命令形を意識した使い方になっています。日本語の動詞は命令形を持ちますが、英語のような明確な命令形を使う構文の習慣がありませんので、命令の意思を伝える表現に困ります。文語的な言い方の命令形に「するべし」「するべからず」があって、漢字の「可」と「不可」を訓読みで使いました。最初のするに「べし・べからず」をつければ済むのですが、これを使わない言い方に、「ものとする」「こととする」を当てたと想像しています。また、この言い方では、ものまたはことを先行詞とした関係代名詞の言い方になっていますので、英語を習ったインテリは不思議な文とは感じないようです。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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