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3. 名詞の話し

3.6 名詞から作る動詞


3.6.1 外来語はスル名詞から作る

 言語間の違いが最も大きく現れるのは動詞です。外国語を覚えるとき、この章の最初に説明したように、物の名前は実物を介して覚えることができます。動詞はすぐには覚えられませんので、外国語を習うときには、丸暗記の方法しかありません。基礎として文法規則を覚えることが大切です。しかし、どの言語にも不規則に変化する動詞があります。理想を言えば、その言語を正しく話すnative speaker について正しく手ほどきを受けるのが最善です。外国語にあって、日本語にない動詞を借用語として取り込むことについては、日本語は便利な方法があります。それは、元の言語を名詞として取り込んでおいて、「〜する」を付けます(2.5節参照)。古くは中国からの漢字の熟語、近代では欧米語の読みをカタカナで表しておいて「〜する」と使います。このように使うことができる名詞は、元の言語で動詞の意義を持つものです。このように動詞に使うことができる名詞をスル名詞と言います。この用語は、ナニ名詞と共に、外国人に日本語を教えるときの実践的な経験から生まれたものです。語幹に当たる名詞は、抽象名詞です。この名詞を直接目的語にして、助詞「を」を付けて「〜をする」の言い方も自然です。複数のスル名詞を並べるときは、「〜をする」と使わなければなりません。「する」はサ行変格活用の動詞で、短く「サ変」とも言います。英語ではdoに当たるのですが、doを含む動詞句は、日本語の「する」ほどの多様さでは使われません。なお、口調の関係で「〜ずる」と付ける動詞があります。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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