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3. 名詞の話し

3.5 形容詞から作る抽象名詞


3.5.4 「サ」を付けて程度を表す名詞にする

 和語の形容詞は、名詞にするとき、語幹に「さ」を付けます。ナニ名詞も「さ」を付ける言い方がありますが、元の語幹だけでも抽象名詞になります。サを付ける方は、物事の状態を表す抽象名詞です。形容詞と副詞が表す意味は、主観的・感覚的に理解しますので、個人によって受け取り方が変わります。長さ・広さ・大きさ・高さ・速さ・重さ・暖かさ、などの言い方は、程度を意味する抽象名詞です。比較を言う言葉は、何かの基準をもとにした絶対比較と相対比較で言っても、曖昧さは避けられません。「曖昧さ」という言い方自体は、曖昧を測る基準がありませんので二重に曖昧です。したがって、客観的・論理的に定義するには数量化して比較ができるようにしなければなりません。このとき、高度・温度・速度・震度・密度のように「〜度」を付けた用語を使います。学術論文や法律文書では、数で指示のない形容詞や副詞を使いません。数での大小比較は、その客観的判断を助けます。判断の分け方は、二分法と三分法があります。二分法は、yes/no、或る無し(1/0)を使い分けます。欧米人はこの方法を好み、どちらでもない条件を避ける傾向があります。日本では、三分法を良く使います。上中下、大中小に分類すること、じゃんけんでは勝ち負けの二分類に、相子または引き分けを含めます。数で言うと、大・小に等しいの条件(>,=,<)を加え、数字に直すときは (1,0,-1)に分けます。コンピュータで数値計算をして実数値の大小比較をすると、等しくなる条件が成立することは実際には殆んど起こりません。等しい条件を設定したいとき、或る数値の幅を閾値(しきい値)に設定して、数値を丸め、整数化して比較します。コンピュータ言語では、丸めは応用技法ですので、分るような説明は文法書には載りません。正確さにこだわる理論家は、このような扱いが誤差を黙認するごまかしであると見なして嫌います。コンピュータを頭から信用している一般の人は、数値の実用的な処理に、丸めの技法が使われていることの認識がありません。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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