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3. 名詞の話し

3.5 形容詞から作る抽象名詞


3.5.3 「だ・です・である」はbe動詞の日本語版

 夏目漱石の「我輩は猫である」の表題は、英語の「I am a cat」に対応します。上で挙げたナニ名詞は、単独に使うと前後の意味関係が取れませんが、語幹に「だ・です・である」を付けると用言の終止形になって落ち着きます。ナ形容詞も語幹に「だ・です・である」を付けられます。英語のbe動詞は、日本人にとって理解の難しい動詞です。英語の参考書を見ると、説明が山ほど出てきますが、あっさりと「だ・です・である」に当てると覚えると楽になります。動詞は多様に活用する語ですので、be動詞も複雑に変化するのです。理屈を考えるのも悪くはないのですが、基本的には慣れで覚えるしか方法がありません。一方、イ形容詞は終止形があります。ところが、話し言葉では、終止形のままで「花が美しい」で止めると何となく落ち着かないので、「花が美しいです」のような言い方があります。これがやや奇異に受け取られるのは、終止形の用言が二つ重なっているためです。筆者は、このような場合には、別の言い方に直すようにしています。例えば「花が美しく咲いています」のようです。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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