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3. 名詞の話し

3.5 形容詞から作る抽象名詞


3.5.2 用言の言い方は品詞分類法と矛盾する

 日本語の形容詞は活用する語(用言)であるのが特徴とされています。しかし、その機能を見ると、名詞の修飾が本命であるのに、動詞的な言い切りに使う場合、名詞にする場合、そして副詞に使う場合があります。例えば「美しい花・花が美しい・美しさ・美しく踊る」のようです。漢字の熟語は、例えば「優美」は、「優美な・優美である・優美さ・優美に踊る」と使い分けます。欧米語をカタカナ語にして使う場合も同じです。ただし元の言語を知っていて、それが修飾語の意義を持つときに限ります。例えば「ビューティ」「ビューティフル」に当ててみれば納得できるでしょう。「ナ」を付ける使い方を上の「イ形容詞」で見れば、「美し」の語幹に付ける語尾の種類が違っています。ただし、例外も幾らかあって、「大きい・大きな」「小さい・小さな」の言い方がありますが、独立した別の語ではないので「〜な」の方の活用が不完全です。この現実がありますので、「イ形容詞」でも「〜な」と言える場合があるときは、「〜な」の方を使うことを避けるような作文指導をすると、文体の統一が取れます。日本語の形容詞を活用して使うと言う説明は、欧米人にとっては評判が良くありません。形容詞は、あくまでも名詞の修飾に使う語の意義だからです。英語の形容詞は、語尾に「-ly,-ness」を付けた別の語にして、副詞や名詞を作る例が多く見られます。フランス語では、男性名詞と女性名詞、単複、さらにリエゾンでも変化をします。これらは、活用とは別ものです。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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