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3. 名詞の話し

3.4 修飾語として使う名詞


3.4.2 階層化した集合名詞の位置を区別する

 動物や植物の分類階級(科・属・種など)を表す漢字をつけた名前は、集合名詞です。あまり意識しませんが、住所表記は、グループ分けされた集合名詞の構成である固有名詞を形容詞的に繋いで使います。最後に使われる名詞に目的語の性格を持たせ、その前にある名詞は、その順で、後に続く名詞の修飾をします。前にある名前は、後の名前に対して集合名詞の意義も持ちます。筆者の住所表示は、以前は次のような具合でした(実際はこれと違います)愛知県名古屋市名東区猪高町大字上社字鋳物師洞一丁目10番地上社住宅5棟6階11号。ここで、「県・市・区・町・大字・字・丁目・番地・棟・階・号」が階層分類に使う集合名詞名で、「愛知・名古屋・名東…」が成分(属性)の固有名詞です。区切りが分るように書けば、階層分類名を省くこともしますし、逆に「の」を間に挟む言い方や書き方も間違いにはなりません。「愛知の名古屋の名東の…」または「愛知県の名古屋市の名東区の…」のようです。特に、手紙の宛名を書くとき、上の例では、数字部分に、「1の10の5の6の10」のような省略記法を使います。欧米流の一般的な住所表記の習慣は、逆順です。したがって、語の切れ目が分る書き方が必要です。このような名詞(数詞も含め)の並びで、個別の機能が何であるかを分類する文法規則を考えるとき、所有格では説明しきれません。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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