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3. 名詞の話し

3.4 修飾語として使う名詞


3.4.1 「何とか」の「何とか」と言う言い方

 日本語では、名詞を形容詞的に使うときに「の」で繋ぎます。英語では人や動物の所有格(possessive case)を作るとき、's(アポストロフィー・ エス)を付け、それ以外は前置詞のofを使うと習います。語順が変わるのが面倒なところです。所有と訳したので、持ち物の意義を感じるのですが、日本語には「長野のリンゴ」、逆に「リンゴの長野」の言い方もあります。所有の意味がなく、修飾的また説明的な言い方に使います。品詞分類を考えるならば、名詞を形容詞的に活用させるときの語尾と見ることができます。「の」を省く「長野リンゴ」は、熟語的な語構成で、一つの名詞扱いにしたものです。「りんごの長野」の言い方は、「リンゴが有名な長野」のような名詞句を短く現したと見れば、前半は形容詞句です。英語の場合、's やofを、冠詞などと合わせて限定詞(determiner)としています。日本の短歌では口調を取るために「の」を連続して使う言葉遊びが見られます。落語のじゅげむ(寿限無)は、最後の名前「長助」を修飾する名詞の連続です。「の」が幾つもありますが、「の」を省く言い方も見られます。日本語ワープロMS-Wordでは、「の」が幾つも並ぶ表現が見つかると、文章校正を警告してくれます。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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